WELCOME!

 

 
 
 
 
(My First Piano Adventure Book Aより"Friends at the Piano")
 
Naturally Music Piano Schoolは、2012年冬に開講して以来、今年で11年目になりました。ピアノの個人レッスンは、年少さん〜小学生のお子様を中心に、大人の方にも通っていただいています。じっくり丁寧に一人ひとりと向き合い、ピアノをずっと好きでいてくれるような指導を心がけています。5年半のイギリス留学経験と英語力を生かし、従来の日本のピアノ教育にはない自由なスタイルで、「自己表現としてのピアノ」を、ピアノを通じて何を表現したいかを大切にレッスンしています。
 
 
 

 楽しいから頑張れる!!

 
 

 山あり谷ありの音楽人生

 
 私は音楽のプロを目指す子どもたちが通う、桐朋の子供のための音楽教室(通称音教)出身です。4歳からソルフェージュを、5歳からピアノを始め、高校卒業後はイギリスに留学。ヨーク大学音楽学部で、音楽学とピアノを学びました。大学卒業後は、ロンドン大学大学院で、アートマネジメントと文化政策を研究しました。

順風満帆な音楽生活!? いえいえ、とんでもありません...

音教時代は、常に超優秀な周りと比べて、明らかに不出来な自分。人前でピアノを弾く自信を失くし、中学に入学してからは、レッスン以外は一切ピアノの蓋を開けないという一年間を過ごしました。

その沈黙の一年の間に思い出したのが、心の奥底に眠っていた「音楽は楽しい!」という気持ちでした。いつのまにやら私にとって音楽は、競争するもの、人と比べて優劣をつけられるものと化していて、楽しさなんてどこへやら… 

音楽の楽しさは思い出したとは言え、自分の演奏には依然として自信が持てませんでした。でも音楽は楽しいから好き。じゃあどうしよう?と思ったときに、「音楽学」という学問があることを教えてくれたのが、小学校3年生からずっとお世話になっていた私のピアノの師匠でした。師匠の紹介で、高校3年間、桐朋の音楽学専攻あるいは藝大の楽理科を目指し、個人の先生の元に通って、和声と楽典、音楽史などを勉強しました。

 

 音楽も英語も好き!

一方、中高6年間で英語のおもしろさに夢中になった私は、ここで欲を出しました(笑)。音楽だけじゃなくて、英語も勉強したい。結果、イギリスに留学しよう!と思い立ったわけです。それも演奏家を育てる音楽院ではなく、大学の音楽学部に行って、音楽を学問として勉強しようと。

「音楽は楽しい!」それをさらに強く感じさせてくれたのが、イギリス留学でした。イギリスの大学では、私からしたら失礼ながら「えっ」と思う演奏でも、当の本人は自信満々に、とっても楽しそうに弾くのです。音楽はスキルじゃないな、まず心ありきなんだなって思い知らされました。

 

 編集者を経て第二の自分探しへ

 
帰国後は、ピアノ雑誌の編集部に就職し、音楽を文章で伝える編集者の仕事に就きました。ワルシャワのショパンコンクールや、パリのアマチュアピアノコンクールの取材に行ったり、国内外の一流のピアニストたちへのインタビュー、イベントやコンサートの取材。仕事が楽しくて、連日夜中まで夢中になって働きました。

女性は結婚して、子どもができると、どうしてもワークライフバランスを考え直さないといけない時期が来ます。元来、完璧主義な私。子育てにも手を抜けなくて(当時の私は、子どもを預けることに非常に罪悪感を感じていました)、フルタイムワーカーは卒業。子育てと両立できる仕事はないかなと、児童英語教師の資格や、留学カウンセラーの資格を取ったりと、あれこれ第二の自分探しが始まりました。

 

 Music Togetherとの出会い

そんなとき、NPO法人自然育児友の会の会報『ナチュラルマザリング』2008年冬号で、偶然目にした講師養成ワークショップの広告。私がMusic Togetherと初めて出会った運命の瞬間でした。翌年2009年の3月。自分の直感とひらめきを信じて、Music Together Teacher Training & Workshopに参加し、本部登録講師資格を取得。センター設立への第一歩を踏み出しました。

Music Togetherの講師になるために必要な資格は何もありません。誰でも3日間のトレーニングを受ければ講師になれます。

桐朋の音教出身で、イギリスに音楽留学までして、幼い頃からいわゆる「プロの道」の端くれを歩んで来た私がなぜ、何も特別な資格の要らないMusic Togetherをやっているの?と思う方もいるでしょう。正直、私でさえも、専門的な音楽知識やバックグラウンドが、純粋に音楽を楽しむための邪魔をしているんじゃないかと考えたことが何度もあります。

でも、それは間違いでした。幼い頃から競争の激しいプロの道を歩んで来たからこそ、純粋に「音楽は楽しい!」と思えることが一番大切なのだとわかったのです。教え込まれる教育を受けてきたからこそ、Music Togetherのような「教え込まない教育」のすばらしさが、よりリアルに実感できる。まるでヨーロッパの暮らしのように、音楽が日常に溶け込んだときに、子どもたちが自ら感じ、自ら学び取る音楽性やリズム感、音感に勝るものはないと心から感じました。

 

 道を究めるのは厳しい、でも

音楽を本当に極めようと思ったら、しんどいことや辛いこと、苦しいことばかりです。それでも頑張れるのは「音楽は楽しい!」と自分の心が知っているから。

子どものうちに「音楽は楽しい!」という経験を数多く積み重ねていくことで、いずれ大きな困難にぶつかっても、壁を乗り越える大きな力になります。

趣味の道を行くにしても、プロの道を行くにしても、どちらにしても純粋に心から「音楽は楽しい!」と思えるかどうかが鍵。そのためには、幼少期に音楽の楽しさの経験値をなるべくたくさんプールしておくことです。

 

 ピアノだって自由!!

Music Togetherのクラスから、初めての卒業生が生まれた頃(2012年)「ピアノを教えてほしい」と言われて、ピアノ教室を始めることになりました。私はMusic Togetherに出会っていなければ絶対に、今こうしてピアノを教えてはいないでしょう。なぜならピアノと言えば、日々の練習、辛いもの、苦しいもの、いずれ嫌になって辞めるもの、みたいなイメージがあり、Music Togetherに出会う前の私なら、「ピアノを楽しく教えるなんてできるわけがない」と思っていたからです。

でも、長年Music Togetherに携わってきて、近頃ようやく私自身が、ピアノだって、Music Togetherみたいに楽しめるんだということがわかってきました。「音楽は楽しい!」という気持ちを忘れずに、Music Togetherのエッセンスをピアノのレッスンにも生かしていけばいいのだと。

先日も、ふと自分のピアノを見つめて、「ああ、ピアノって本来、こんなに自由なものだったんだ」と気づいた瞬間があり、ハッとしました。Music Togetherは自由だけど、ピアノにはまったく自由がないと思っていたのは、私の思い込みだったんだって。

 

 ピアノ教師として

実際、中学時代に1年間、レッスン以外にまったく練習しなかった経験がある私は、子どもたちが練習に気が向かない気持ちも十分理解できるし、逆に、練習しなかったからこそ、やっぱり日々の練習、小さな積み重ねが大事だということもわかります。

子どもたちの気持ちに寄り添いながら、あの手この手でやる気を起こさせ、「音楽って楽しい」「ピアノって楽しい」と感じてもらえるようにするのが、ピアノ教師としての私の仕事です。